2010年7月26日月曜日

アクセシビリティ・チェックポイント(9)- 入力装置いろいろ

(9)入力装置いろいろ

「入力装置についても教えてください」とのリクエストがありましたのでまとめてみました。まとめているうちに私も知らなかった製品やサイトもありましたのでまとめて紹介します。

・マウスを使うのが困難な人

親指が無いため握れない、握力がない、握った状態で動かせない、微妙なコントロールができない。こういった方は非常に多いです。そんな方の中でもマウスが使いたい方は下図のようなものを利用しています。



こことステップの「らくらくマウスⅡ」
http://www.kktstep.org/rm_04.html


マウスが使えなくてもボタンやジョイスティックなら使える人のための装置がいろいろ用意されています。


・キーボードを使うのが困難な人

指が震える(隣のキーを押してしまう)、思った場所からずれる(複数のキーを押してしまう)、押した指を離すのに時間がかかる(同じキーを何個も入力してしまう)など、キー入力が困難な方も非常に多いです。そんな方の中でもキーボードが使い方は下図のようなものを利用しています。



テクノツールの「小型ひらがなキーボードUSB」
http://www.ttools.co.jp/product/hand/kogata_kbd/usb_photo.html


誤入力を減らすために入力ガードがあり、複数キー入力や隣のキー入力を抑えることができます。

他にも、指が変形して、そのままではキーボード入力ができない人向けの入力補助装置などもあります。



プロト・ワンの「タイプエイドA」
http://www.proto-one.co.jp/cgi-bin/proto-one/siteup.cgi?&category=1&page=1&view=&detail=on&no=10



・手が動かない人

手が動かない方は顔や肩、足でボタンを押して制御します。多くは画面にソフトウエアキーボードのようなものが表示され、光が左上から順に流れ、そのキーに来た時にボタンを押すといった操作があります。最近は予測変換等が充実し、入力にかかる時間が大幅に短縮されてきています。



国際電業の「たっちぴこ」
http://www.kdengyo.co.jp/


また、口(舌)で操作するタイプなども多く出ています。



アクセスインターナショナルの「ジョーズ2」
http://www.accessint.ne.jp/communi/computer/JOUSE2.html



最近ではユーザーの視線を追うアイトラッキングツールとしてマーケティング業界でも活用されている視線入力装置などもあります。

Tobii の「マイトビーP10」
http://www.tobii.co.jp/japan/application/assistivetechnology.aspx


・ほかにもいろいろ

下記のサイトは非常によくまとまっていました。私も今回大変参考になりました。みなさんも一度アクセスしてみてください。

こころWeb
http://at2ed.jp/kokoroweb/part1.html



・今回改めて気付いたこと・1

今回この記事を書くにあたって、いろいろなサイトを見て回りました。そこで気付いたのですが、以前に調べた時に参考にした企業がことごとく廃業していたということです。この業界はほとんどボランティアです。国の補助も含めていろんな方のサポートが無いと会社の運営自体難しいのだと思います。もっと認知してもらうためにも「アクセシビリティ」の本来の意味をこれからも伝えていきたいと思います。

・今回改めて気付いたこと・2

そしてもう一つ思ったことが、今回紹介した装置のほとんどが非常に高額だということです。しかもこれらをそのまま使えるユーザーはごく限られていて、多くの方はさらにその人のための調整が必要で、そこまでやると数十万円かかることが当たり前だということです。

そこまでして皆さんのサイトを見に来てくれています。全アクセス数からみると1%にも満たない僅かなアクセスかもしれませんし会社の利益には直結しないかもしれません。それでも、見に来てくれている人をそのまま追い返すような真似はしないでいただきたい。サイトに来るまでに大変な思いをして来てくれている方には少なくともサイト内は自由に渡り歩いていただきたいものです。

そういった視点を持って私のブログのこのシリーズを最初から読んでいただき、少しでもアクセシビリティに対して前向きに考えてくれる人が1人でも増えて、1社でも多くのサイトが良くなることを心から願っています。

それでは。